# サービス企画書: どこカメ (Semantic Geo-Locator, Real-time Video Edition) **視覚情報 × オープンデータによる、次世代型・位置特定エンジン** - **Version:** 2.0 (Video Streaming Model) - **Date:** 2025/12/06 - **Infrastructure Strategy:** Zero-Cost Cloud Prototyping(無料クラウド枠で成立する実装) --- ## 1. サービスコンセプト > **「かざすだけで、視界がそのまま住所になる」** GPS精度が低下する環境(ビル街・屋内・山間部など)で、 通報者がスマホカメラを周囲に向けるだけで、 AIが映像をリアルタイム(準リアルタイム)に解析し、 **数秒〜数十秒以内に「ここです」と言える座標・住所をピンポイントで特定**する。 --- ## 2. 解決する課題 (Pain Points) 1. **GPSの限界** - 高層ビル群・屋内・山間部では、数十〜数百メートルの誤差が平常的に発生する。 - 「現在地を送る」ボタンだけでは、指令員が現場を特定できないケースが残る。 2. **パニック時の伝達困難** - 「山と自販機しかない」「大きな道路のそば」など、 **住所・目印が言語化できない状況**での口頭説明は、通報者にも指令員にも大きな負担。 - 特に外国人観光客や土地勘のない人は、「今どこにいるか」を説明できない。 3. **静止画送信の心理的ハードル** - 「写真を撮って送る」という操作は、 緊急時の通報者にとって - 立ち止まる - 撮影する - 送信ボタンを押す というステップが必要で、**予想以上に心理的・操作的なハードルが高い**。 --- ## 3. ソリューション概要: リアルタイム・セマンティック解析 ### 3.1 連続スキャニング (Continuous Scanning) - ユーザーは「動画モード」でカメラを起動し、 **そのまま周囲を見渡すだけ**。 - システム側は、ブラウザから送られてくる映像ストリームを継続的に受信する。 ### 3.2 準リアルタイム解析 (Quasi-Real-time Analysis) **無料インフラでの運用(Zero-Cost)を前提**に、 全フレームではなく「間引きフレーム」を解析対象とするサンプリング方式を採用する。 - **OCR解析(高頻度 / 約 1.0 秒ごと)** - 電柱番号、店舗看板、ビル名、信号機名、標識など、 画面に映る**文字情報**を高速に抽出し続ける。 - ユーザー画面には、 - 「検出中:田中歯科…」 - 「検出中:ローソン…」 のように、検出されたテキストが1〜2秒遅延で次々とポップアップ表示される。 - **VLMによる空間推論(低頻度 / 約 5.0 秒ごと、または条件トリガー時)** - Vision-Language Model (VLM) を用いて、 - 「コンビニの向かいにコインパーキング」 - 「右奥にガソリンスタンド、左にドラッグストア」 といった**ランドマーク間の位置関係**を文章として抽出。 - このテキスト化された「風景の構造情報」をもとに、 **位置特定ロジック(後述)を発火**させる。 ### 3.3 複合クエリによる位置特定 抽出されたテキストと空間情報を OpenStreetMap (OSM) へ照合する。 > **例: 検索ロジックのイメージ** > - 「現在地から半径1km以内」かつ > - 「`田中歯科` というテキストを持つ POI が存在」し > - その 30m 以内に 「`ローソン` が存在」する地点 > → この組み合わせ条件を満たす候補地点をスコアリングし、 > 最も尤度の高い座標を「推定位置」として採用。 --- ## 4. システム構成とインフラ (Tech Stack) **Hugging Face Spaces を中核に、GPU不要・ゼロコスト運用を実現する構成。** | レイヤー | 役割 | 採用技術・仕様 | | :--- | :--- | :--- | | **Frontend** | 映像入力・UI | - **WebRTC (Gradio streaming)** によるブラウザ映像ストリーミング
- スマホアプリ不要、SMSリンクからブラウザ起動だけで利用開始 | | **Infrastructure** | 実行基盤 | - **Hugging Face Spaces (Free Tier)**
- CPU: 2 vCPU / RAM: 16GB 程度
- ランニングコスト: **0円(PoC/小規模運用想定)** | | **Edge Logic** | フレーム制御 | - **Sampling Middleware** により、動画全フレームを処理せず、1〜2秒ごとにフレーム抽出
- CPU 負荷・APIコストを制御 | | **OCR Engine** | 文字認識 | - **PaddleOCR** を Hugging Face 上でローカル実行
- 日本語・自然風景の看板文字に強いモデルを採用 | | **AI Brain** | 空間理解 | - **Gemini 2.5 Flash API (Free Tier)** を利用(将来は他VLMへの差し替えも可能)
- サンプリングした静止画を入力として、ランドマーク情報・位置関係をテキストとして構造化 | | **Map DB** | 地図データ | - **OpenStreetMap (Overpass API)**
- 無料でPOI情報やタグ検索が可能
- 「店舗名+カテゴリ+距離条件」による複合クエリで候補地点を絞り込み | --- ## 5. ユーザー体験フロー (UX) 1. **アクセス** - 通報者へ SMS などで URL を送信。 - 通報者が URL をタップするとブラウザが起動し、 カメラ使用の許可ダイアログが表示される。 2. **スキャン** - 画面の案内: 「カメラを周囲に向けて、ゆっくり一周してください。」 - 通報者はその場でスマホを回転させるだけでよく、 写真撮影や送信といった操作は一切不要。 3. **フィードバック** - 画面上には、AIが検出した文字情報が**1〜2秒程度のラグで順次ポップアップ**。 - 例: 「検出中: 〇〇医院」「検出中: 消火栓」「検出中: LAWSON」など。 - これにより通報者に - 「ちゃんと見てくれている」 - 「今の映像が役に立っている」 という安心感を与える。 4. **位置特定** - OSM との照合が一定スコア以上になった時点で、 画面に以下のように表示: - 「**場所を特定しました:〇〇市〇〇町3丁目 〇〇交差点付近**」 - 同時に、この座標・テキスト情報が指令台システムへ送信される想定。 --- ## 6. 競合優位性 (Differentiators) 1. **導入・運用コストゼロに近い構成** - Google Maps API 等の従量課金サービスに依存せず、 OSS + 無料枠クラウドで最小構成を実現。 - **PoC〜小規模本番**までは、自治体予算にほぼ影響を与えない形でスタート可能。 2. **「動画」なのに軽い設計** - 通信は WebRTC による動画ストリーミングだが、 サーバ側の解析は間欠的なサンプリング方式。 - 全フレームを処理するリアルタイム動画解析と比べて、 **CPUのみ+低スペックでも成立する負荷設計**。 3. **曖昧な状況に強いセマンティック位置特定** - 住所プレートが見えない場合でも、 - コンビニ+駐車場 - ガソリンスタンド+大型交差点 といった**ランドマーク構成・風景の“組み合わせ”**から位置を推定。 - 文字情報だけに頼らず、 **「風景の構造」×「オープンデータ」の掛け合わせ** による位置特定が可能。 --- ## 7. 将来拡張性 (Future Extensions) - **PLATEAU (3D都市モデル) との連携** - ビル群の「スカイライン(屋上形状・高さ分布)」を3D都市モデルと照合。 - 文字情報や店舗が乏しいエリアでも、 - 建物の輪郭 - 道路のパターン - 遠景の山並み などの**幾何学的特徴から方角・位置を推定**できるように拡張。 - **マルチモーダル連携** - 将来的には、音声(環境音・通話内容)も加味し、 - 「踏切の音」「救急車サイレンの反響」「川のせせらぎ」などを手がかりに 空間推論の精度をさらに高める余地がある。 --- **End of Document**